[赤羽サンシャイン]最近よく聴いたCD 201006[派手な高層ビルで]
マル 2010-07-05 [朴訥音楽評]

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[出れんの!?サマソニ!?:HONDALADY]
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AFRA / Heart Beat
AFRAもそうだし、TACKER、DJ KENTARO、HIFANA etc...生でパフォーマンスを見ないと良さが全然伝わらないアーティストが、どうすればプロダクトにそのポテンシャルを詰め込めるか?というのは、長年リスナーにとっても、アーティストにとってもはがゆい問題だったと思う。もちろんAFRAの制作サイドだって、AFRA & INCREDIBLE BEATBOX BANDなど他メンバーを連ねて活動したり、いろいろなアーティストとコラボレートしたり、熟考と試行錯誤を繰り返していたんだと思う。

で、この新譜。

AI、BOSE、COMA-CHI、ハナレグミ、Mummy-D、サ上などなど、曲ごとにMCをとっかえひっかえ起用した内容になっているんだけど、そのへんのヒップホップアーティストの新作キャッチにありがちな、「豪華ゲストが多数登場!絶妙のコラボレートを繰り広げる意欲作!」みたいなのとは、まったく次元の違う、すごく面白い作品になっている。うまく言葉に落とし込めないのが歯がゆいんだけど、MCにぶら下がることなく、わが道を貫いているところがスカパラのコラボレーションに近いんじゃないかな、と思った。やっと歯がゆさが解消された気がして、聴いていて楽しくなってくる。

SEAN JACKSON / slots
今更説明不要だけれども1990年代のUKロックを語る上で最重要だったレーベルといえばCREATION。オアシス、プライマル・スクリーム、マイ・ブラッディ・バレンタイン、ジーザス&ザ・メリーチェイン、ライド、SFAなど錚々たるレーベル出身バンドの影に隠れて、ひっそりデビューした18wheelerというバンドがいました。
同郷グラスゴーの星・ティーンネイジ・ファン・クラブの情けなさ5割増しみたいなテイストの彼らは、TFCに負けず劣らずキラキラとしたメランコリックな3分間ギターポップを奏でるバンドでした。その後、90年代後半のトリップホップブームに便乗し、何を血迷ったか打ち込みを導入し始めて空中分解することになるんだけれど、その中心人物だったSEAN JACKSONがソロとして戻ってきた!ごめん、存在をすっかり忘れていた!
前述の18wheelerのセカンドアルバム「Formanka」の冒頭に「Budda」という曲があって、素っ気ない演奏の中に無限の宇宙が詰まっている、という18wheelerの代名詞的な曲があるんだけど、そのころと全っ然変わってない。エバーグリーンてこういうことを言うのか!(違うか)。若干しょぼい打ち込みも後期の18wheelerみたいだ。今彼がソロで活動していることがラッキーだとしか言いようがないね。

group_inou / _
WIRE? THE WHO? みたいなジャケットがレコ屋で目立っていたgroup_inouの新譜。トラックの半音外しの美学(ここがこのユニットの生命線だと思う)は今までどおりなんだけど、エレクトロ的なビートの芯の部分はやや影をひそめ、マシンビートを使ったスウィングやパンクのようなアプローチが新鮮。加えてヒップホップの文脈とは別の部分で韻が硬かったMCも、一聴するとひどくいびつに聴こえるものの、トラックのせいなのか、ミックスのせいなのかわからないけどリリックのアクが逆に強くなり、いちいちスバズバ響いてきていいなぁと思った。熱くもなく冷めてもなく、ってそれって全盛期のP-MODELみたいじゃん。いつが全盛期なんだという話だけども。

MIIKE SNOW / Miike Snow
マドンナやカイリー・ミノーグ、ブリトニー・スピアーズ、UTADA(!)への曲の提供やプロデュースを手掛けるプロデューサー・チームMIIKE SNOWのファースト。作曲から編曲に至るすべてにおいて、ものすごいクオリティの高い音楽なんだけど、「大物プロデューサーによる覆面プロジェクトのプロダクト」というよりかは、Passion Pitみたいなインディダンスバンドあがりの雰囲気があってなんか信頼できる。なによりフックと抜けの共存が絶妙なメロディラインと、必要最低限で構築していくサンプリング・センスが秀逸。21世紀にポリスみたいなバンドがいるとするなら、mutemathみたいなクドいバンドではなく、こんなバンドなんだと思う。

にしてもデンジャーマウス率いるBROKEN BELLSもそうだし、このバンドもそうだけど大物プロデューサーが新しく始めたバンドは、ここんところかなり打率が高いなぁ。

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