野沢温泉　道祖神火祭り

火元の家で古式にのっとり採火された火は松明に移された神殿を守る厄年の男たちと攻めるその他の村人の男たちの間で男らしい荒っぽい壮絶な攻防戦が約1時間半続く。手締めの後、社殿に火を入れ、激しく燃える火が最高潮に達したとき、燈篭も燃やして火祭りが終わる。

去年、何気無く見ていたドキュメント番組で、この「野沢温泉道祖神火祭り」を特集してた。それまでこんなお祭りがあるなんて知らなかったんだけど、番組を見てその祭りの迫力に圧倒された。

祭り自体は準備段階も含めて数日間の予定で行われるものなんだけど、お祭りの大トリ、「火付けの攻防戦」が特にすごい。数日かけて作られた社殿にたいまつの火を持った村の子供、大人が火を付けに走る。それを厄年の25歳の男子が社殿の周りに立ちはだかり、その火を付けさせまいと追い払う。一応、その守り役には厄年42歳の男もいるんだけど、42歳チームは基本的に社殿の上にあがって足元の攻防、25歳若者チームの奮闘を応援？する係って感じ。

とにかくその攻防は見てるだけでも火傷しそうなほど激しい。そりゃ火の付いたたいまつを振り回して大勢の男がぶつかり合う様はどんなエクストリームな格闘技以上にエキサイティングなパワーがある。大雪に覆われた野沢の雪が全部溶けてしまうんじゃないかと思うくらい熱く、熱気にあふれた祭りだった。

その祭りのドキュメントで特に、舞台裏というか、その年の主役？25歳厄年の村出身の男子の様子が非常に印象的だった。印象的だったというか、かっこよかったんだよねえ。自分の故郷に誇りを持てる祭りがあるというものをすごい意識してる感じが良かった。

25歳くらいだと結構村を離れて、東京なんかに上京して仕事してる人も多くいるみたいなんだけど、でも、村出身の25歳男子はみんなこの村のこの祭りを誇りに思い、その日はなんとしてでも祭りに参加するため、いや、その社殿を自分たちが守りぬくために村に集結してくるんだよねえ。そして、真っ白な衣装でカラダを清め、そのサイコウの舞台に、戦いのリングに上がっていく様子は、もっすごいかっこよかった。

祭りが終わると白い衣装は煤で真っ黒に変わり、張り詰めていた緊張感が一気に抜けた安堵感と、そのやり遂げたという達成感で、なんとも言えない感動を感じてるみたいだった。

自分の故郷でやらなければならないことがある、ってすごいかっこよく、また、その気持ちが長い間受け継がれてるということも、この伝統を大切にしていってほしいと思った。ちなみにこの火祭りは、平成6年に重要無形民俗文化財に指定されている。

で、その番組の、祭りの衝撃があまりにも大きくって、「感動的でエキサイティングな野沢の火祭りを今年は目の前で見てみてーぞ！！」ってことで、今回、来年の1月15日は野沢温泉に行くことにしました。

冬の雪山ど真ん中で、熱い男の祭りを肌で感じてこようと思いますよ。ワショーイ！

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