レペゼン火の国熊本、餓鬼レンジャーの新譜です。
テンション高めのトラックの中で、つまるところエロいこととギャンブルしか考えていないポチョムキンとYOSHIのリリックが踊る前作「Da-pong」とはうってかわって、ファンキーで金かかってそうなトラックに、キックのリトルやDJ TONK、そして同郷のくりぃむしちゅーなんかが参加してたりして、豪華メンバーを集めておきながら、とってつけたような違和感も無く、肩の力が抜けてこれはこれでなかなか面白い内容。
そういや「豪華ゲストが多数参加」ってうたい文句のHIPHOPのアルバムは相当あるよなー、と思うんですが、数多ある日本のHIPHOPユニットの中で、僕がなぜ餓鬼レンジャーに注目してしまうのかというと、ポチョムキンがもつMCとしての独特のリズム感にあるんじゃないかなと思います。ポチョムキンのリリックはモタってんだか走ってんだかわかんないような唯一無二のグルーヴ感がある。MCのリリックをフロウ(流れ)なんてスラング使っているところからも解るように、流れるように、そして切れ味の鋭いリリックが理想形とされているHIPHOPの中でこういう言い方するのは矛盾してんだけど、あえて言葉で表現するとしたら一番近いのは「引っかかる」感覚。
日本のMC事情を大きく分別すると、英語的リリックを日本語にトレースしてきれいに韻を踏むケースと、それとは逆に日本語的な感覚で韻を踏まずに突っ走るケースに二分されると思っているんですが、本人が意識的かどうかは別として、この人はまったく別のベクトル向いてる。餓鬼レンジャー内で言えば、後天的に学習したのがYOSHIやハイスイッチだとすると、ポチョムキンに関しては、先天的な才能のような気がしてしょうがない。
やっぱりこの人は日本のHIPHOP界の宝だ。あー。