子どものころ信じていたバカなこと8
俺には5つ下の妹がいるんだけどさあ。唯一の兄弟。
チビッコの頃ってお母さんとお風呂に入るじゃん。で、まあ、どんな男の子でも同じ質問すると思うのよ。「何でお母さんはちんちんついてないの?」って。
で、そん時の答えが、「普通はついてないのよ。特別にデパートで買ってつけてあげたからついてるのよ。」ってことで、それ、「ふーん。」なんつって聞いてたけど、何の疑いも無く信じてたわけね。デパートに行くとちんちんが袋に入って棚に並んで売ってるもんだと。
「あー、ボクはお父さんお母さんに大切にされてんだなあー。特別にちんちんつけてくれたなんてー。」とかよくわかんない優越感もあった。
で、しばらくして、その5歳下の妹が生まれた。
まあ、妹が生まれたのも俺が毎晩、天国の神様に「ずーと、ずーといい子にしてますからボクに妹をください!」ってお願いしてたからなんだけれども。今考えると理由不明だけど、なぜか妹限定。(近所のお友達に妹がいたから憧れてたんじゃない?説が有力。)
お母さんのオナカが大きくなって、女の子だとわかってからもう楽しみで楽しみで。ほんで、誕生。その生まれた妹がかわいくってかわいくってさあ。どうしようもないくらいうれしかったのは覚えてるなあ。うれしかったのと同時に、生まれたての赤ちゃんに人見知りして恥ずかしかった。
そのかわいい妹にしゃべりかけた一言目。「こんにちわー。おにいちゃんですよー。」だったらしい。さすがに俺は覚えてなかったんだけど、後に親から聞いた。
しばらく経ってから、妹をお風呂に入れてあげるっていって脇で見てた事があったのよ。(そういえばなんかそのお風呂(ベビーバス)のお湯が赤茶色だったなあ。なんかの消毒かなんかを入れたお湯だったのか?)
そのときよく見たら俺の妹、「ちんちんついてねーじゃん!」ってえらくビックリしたのね。で、すぐに聞いたんさ。「なんで妹にはちんちんついてないのー?」って。
したら、「お前のちんちんデパートで買っちゃったらお金無くなっちゃったから妹の分買えなくなっちゃった。」つーのさ。
今考えりゃ冗談以外の何もんでも無いけど、そん時はデパートで買ったのにもナンの疑問も持たなかったし、当然、デパートでもの買うにはおかねが必要とかも理解してるつもりだったから冗談なんて思うわけ無い。ええー!俺のちんちん買ったせいで妹のちんちんねーのかよー!つってものすごい罪悪感に襲われた。
一生懸命お祈りして生まれてきた、かわいくって大好きな妹が俺のせいでちんちんつけてあげられない、って。
で、お母さんに「ボクのちんちん外してもいいから妹につけてあげてー!」って泣きながらお願いしたことを急に思い出した。
そんな大好きな俺の妹とも音信不通になって4年くらい。今何やってんだろうなー。ハンチング見てたら実家に連絡ください。
ビジュアルロックバンド大好き。でも、俺の部屋にあったYMOも、HARDFLOORも好き。イラスト描くのも好き。梅干しとしいたけが嫌い。国語が得意。兄弟ゲンカでは常に勝利。ゆで卵と勘違いしてオデコで生卵を割って顔面黄身まみれ。クルマのウインカーをナビゲーションシステムだと思い込み、「矢印の点く方向に進めば目的地に着けるよ」と父にアドバイス。台所の切れ掛かってチカチカしてる蛍光灯を「ディスコ」と名付ける。
どう見ても俺の妹です。本当にありがとうございました。