角川の里見八犬伝

TBSテレビ 2006年新春スペシャルドラマ: 里見八犬伝
滝沢馬琴著、「南総里見八犬伝」-。「生きるために闘え!」というシンプルな命題が消え去った平和な時代に、「勧善懲悪」を基本骨格に「因果応報」を織りまぜたエンタテインメントの王道が今蘇る!
正月にTBSでこんなのやるんだね。タッキーが信乃やるんだ。玉梓は菅野美穂ねえ。番組は3時間2夜の6時間のストーリーか。内容もあくまでも馬琴の「南総里見八犬伝」に沿ったものっぽいし、原作『は』よく知らなかったのでこの機会に見てみるかなー。


原作『は』、と強調したのは、原作じゃない里見八犬伝、1983年公開の角川映画「里見八犬伝」の印象がスゲー強く残ってて、こっちのストーリーがむしろ俺の中の「里見八犬伝」になってるくらいなので。

で、先日、世界ふしぎ発見で、このTBSの正月ドラマの関係もあってか里見八犬伝特集やってて、それ見たら今までよく分かってなかった原作のストーリー背景や設定なんかも知ったとこで、妙に懐かしい角川の里見八犬伝が観たくなったので観てみた。

角川の里見八犬伝、俺、これ、小学生時分にロードショーで観にいってるんだよね。錦糸町の楽天地に。まあ、一人で行ったわけじゃなくって、オヤジに連れられて。里見八犬伝といったら、馬琴。馬琴といったら江戸文学、江戸文化。江戸文化といったら黙っちゃいられない俺のオヤジのことですから、そういうことだったんでしょうな。たぶん。(もしかしたら薬師丸ひろ子の熱烈なファンだったのかも知んないけど。笑)

で、まあ、観た感想というか、ツッコミを入れながら、改めて原作との違いや設定のオモシロさなどを再確認してみたり。さすがに小学生のときじゃ意味わかんなかったこととかもわかってオモシロかった。

ストーリー全然違うじゃん
まあ、前提でもあったように、ストーリーが馬琴の南総里見八犬伝とはまったく別物なのよ、ってことで。別に南総里見八犬伝をまったく知らなくても楽しめるし、もしかしたら、それを知らないでコレがオリジナルと思ったほうが入り込みやすいかもと思ったり。南総里見八犬伝で主役のような立ち位置にいた丶大法師は一切出てこないし。

当時、洋楽がやたら新鮮だった
今回また観て思っていたほどのインパクト無かった点の1つに、オープニング、エンディングの洋楽のインパクトがある。小学生当時の俺には洋楽のインパクトはすごくてやたらかっこよく聴こえててこの映画の勢いに欠くことが出来ない感じだった。けど、改めて観たらそうでもなかったのがちょっとションボリ。でも、なんか雰囲気あっていい曲じゃないっすかねえ。

真田広之かっこいい
これがさあ、やたらかっこいいのよ。たぶん、女子だったらかなり目がハートマークだと思う。いや、オトコでもこのかっこよさは憧れるなあ。見た目もさることながら役どころも段々と頼りがいが出てきたりするとこが素敵です。いや、そんな役を立ちまわれる真田広之あっての里見八犬伝なのかも。

つか、キャスト豪華過ぎじゃね?
なんか全部紹介してたら長くなりすぎるからイチイチ紹介しないけど、八犬士はじめ、前に出てくる主要キャラが見事に全員大物俳優、女優。当時でもソウソウたるメンツだったろうけど、今見ると大御所がバンバン出てる映画、なんか夢の競演のようです。また、女優さんもこれまたみんなキレイ。特に玉梓・夏木マリの妖しい色気と毛野・志穂美悦子のツンデレっぷりにやられます。

江戸時代の同人みたいなもんじゃねーの?
原作とはちょっと外れる、脚色なとこも多いけど。八房と伏姫が一緒に洞窟にいたら伏姫が妊娠しちゃったとか(獣姦?)とか、浜路と信乃の親近相姦匂わせるようなとことか、ちょっとタブーな感じに触れてるとこがねえ。八房の件に関しては原作に沿った背景でこの辺はいろいろと議論や研究されてるみたいね。伏姫が妊娠してるのを隠したくて自害したんじゃねーのかとか。

船虫が正体現すあたりの特撮が素敵
原作だと船虫は妖怪じゃないんだけどね。映画だと妖怪の正体を現して大角たちと戦うんだけど、そのシーンの特撮というかセットの安っぽさが素敵。

夏木マリのおっぱい
俺はコレが見れただけでもう満足だった。つか、小学生の頃に見た印象だと全然そんなとこ覚えてなかったけど、今回観て「おー」と思った。つか、あんなにキレイな妖怪がいたら妖怪も悪くないなと思う。

角川最大の見せ場のオリジナルストーリー
あくまでもオリジナルストーリーなんだけど、原作にはまったく無い設定で一番の角川脚本の見せ場、盛り上げどころだなあ、と思ったのは、親兵衛が実は玉梓の息子だったという設定。これ、脚本家ホントよく思いついたと思うわ。この一件で親兵衛の成長や意識、八犬士の結束なんかが強くなり、終盤にかけて一気に話が進んでいくイベントになってるんだよなあ。

濡れ場が異常に長い
真田広之と薬師丸ひろ子のカラミのとこなんだけど、これがちょっと長すぎて飽きる。で、この濡れ場が終わりヒト悶着あったところで、急に真田広之の衣装がセクシーシースルーになってる。

ヘンリー真田
DVDで観たんだけど予告編が入ってて、海外向け予告編も入ってたのね。したら、真田広之の名前がヘンリー真田になってた。まあ、それだけなんだけど。

...とまあ、そんな感じでツッコミながら最後まで観たわけですが、さすがに小学生時分の頃の印象とは幾分違ったものの、それは決して悪い意味じゃなく、当時わかんなかった設定とかがしっくりきたところで「楽しめた」って印象が残りましたな。とにかく、この角川の里見八犬伝は「エンターテイメント」なんだろうなーと思った。観て楽しい映画に徹してる作りは素晴らしい、往年の角川映画の魅力を再確認したのでありました。

そんなわけで、この正月にTBSのドラマ「里見八犬伝」を観て里見八犬伝に興味持ったら、角川の里見八犬伝を観てみちゃったりしてみてくださいな。あー、戦国自衛隊もリメイクされたし、その勢いでハリウッド版にもなるらしいので、当時、海外評価も高かった里見八犬伝もハリウッドリメイクされたら面白そうだけどなあー、と思ったり。

【南総里見八犬伝関連】
・南総里見八犬伝 - Wikipedia
・曲亭馬琴 - Wikipedia
・伏姫屋敷-南総里見八犬伝のホームページ
・「南総里見八犬伝」白龍亭