遺伝子の多様性

サボることなく地道に働くとイソップ童話でも語られている働きアリなのに、実は怠け者もいる。働きアリの一部は、ほとんど仕事をせず、中には全く働かないアリもいた。

昔から興味ある話の1つに「多様性の無い遺伝子は滅びる」というのがある。植物と動物とではそこに生き物としての多様性があり、犬と猫とヒトではそこに動物としての多様性がある。ヒトのなかにも運動が得意なヒトや計算するのが得意なヒト、おしゃべりが好きなヒトや寝るのが好きなヒトなどいろいろなヒトがいる。これもヒトという遺伝子の中の多様性の一つ。

多様性の無い遺伝子は滅びる、というのは、環境変化など「その遺伝子では乗り越えることができない状況」が発生した場合に遺伝子が絶滅してしまうというのが理由になっている。遺伝子が多様性を持つということは、「どんな状況になったとしてもその状況に負けない遺伝子を残す」という種の保存に基づいた本能の1つだと言える。

種の保存、とかっていうとすごい話が大きくなりすぎてピンと来ないかもしれない。

ヒトが日々の生活を営む社会構造自体がこの「多様性」の上に全てが成り立っている。例えば、お米を作ってるヒトしかいない世界があったとする。もちろん、この世界のヒトたちはお米しか食べない。そんな世界に強烈な冷夏が襲い、お米の収穫がゼロになったときどうなるか?

幸い、現実の世界にはお米以外にも野菜を作ってくれるヒトもいれば魚をとってくれるヒトもいる。お米が収穫できない時でもヒトという遺伝子が滅びることはないだろう。また、食物以外にも生活に必要な道具や情報、身の回りの全てにいろんなヒトの多様性の結果が集結していることがわかる。というか、多様性が今の社会生活を作り出してることが嫌でも分かる。

生活に直面してないとこでもこのヒトの多様性は相互に関わり合い、社会構造に大きく関わっている。

行動や思想が「文化」と呼ばれ、性格や思考が「個性」と呼ばれるところにも多様性は存在し、それもまた同様に大きく広いところで絶妙なバランスに関わりあっているだろう。

ヒトとヒトとの関わりが多様性のもとに成り立っている以上、ソリが合うヒトや合わないヒト、魅力に感じるヒト感じないヒト、尊敬できるヒトできないヒト、もちろんいろいろいて当然だと思うし、むしろ、そうであるべきだと思う。

で、アリのニュース。一生懸命に働いてるアリもいるし働かないアリもいる。これはどっちが優れてるとかどっちが正しいとか、そんなものはどっちもアリである上に否定される。アリが存在するにはどちらの行動をするアリも不可欠であるからだ。働かないアリがただ単に怠けて働かないだけなのか、それとも人間にはわからない何かをしているのかはまだ分からない。でも、その存在はどちらも遺伝子に裏付けされた多様性の産物だということに違いは無い。

【遺伝子の多様性関連】
コメント (8)
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アリの話だったか蜂の話だったか忘れましたが
サボってる個体を取り去ったあとの集団にも
やっぱり何%かのダラダラさんが出てくるそうです。
つまり、怠け者がいなくなると見ると
何匹かの働き者が怠けだしてしまうわけです。

そういうわけで
休んでるヤツはきっと声出して
必死にみんなを応援してるんだと思う。
喉からして。

だから「怠け者」とか言っちゃダメだと思う。


ダ 2003/10/29 #548
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働く働かないで分類すると核心が見えにくい。
種の多様性は「役割」そのものであると誰か言ってたなぁ・・・。

働かないアリはその姿を見て「もう、しょうが
ねーな、俺がやらなきゃ!」と思って働くアリ
のために存在する「役割」なのだと思う。

人間はどちらの役割もこなせるただひとつの存在
である。

ちなみにモハメド・アリは黒くて大きいが、いま
や幾多の苦難を乗り越えた偉大なボクサーである。(実はこれだけ言いたかった)

まちゃ 2003/10/29 #549
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>ダちゃん
やっぱ、「応援説」が有力だよな。
野球やサッカーでもホームグラウンドでの試合の勝率がいいのはやっぱ応援の影響も多いだろうしねえ。
小学校の時、運動会とかで綱引きの応援の掛け声は「オーエス!オーエス!」って何故かいってたんだけど、
あれは何のおまじないなんだろう?

オオカワ 2003/10/29 #550
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>まちゃちゃん
モハメド・アリと猪木の多様性。

種の保存のための多様性が先なのか、役割分担のための進化が先なのか、
結局、その両方の結果が遺伝なのか。

オオカワ 2003/10/29 #551
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>オオカワちゃん
オーエスは旺文社カタカナ語辞典に載ってるそうだ。
海軍が発祥で、「帆を上げる」の意。

別説で、
オペレーティングシステムの略、
オスマン・サンコンを召還する際の掛け声、
オマイラとセクースしたい!の略であることもありそうでなさそう(笑)

まちゃ 2003/10/29 #552
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>まちゃちゃん
無い。

オオカワ 2003/10/29 #553
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 この話は、さくらももこ女史が『ももこのいきもの図鑑』の中ではるか昔に言及されていたような。。

 アリにもぐうたらしてるヤツがいるのさ!ってことで、自然界にも何の役割も無い無駄なものはたくさんある、生存の維持や遺伝子の保持だけが生物の目的ではない、と個人的には思いたいですね。

 生態系のシステムだって、人間が勝手にあとづけたもので、その中にいる存在は自分がシステムの一部で役割をになってる、だなんて感じてないだろうし。そこに、「大自然の大いなる意思」なんて感じちゃうのは、逆に人間の身勝手も感じちゃうんですよね、個人的には。

euri 2003/10/30 #560
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確かに種の保存が存在の目的とは思いたくないですよねえ。
「進化」とかいってるのも所詮、結果論に過ぎないと思いますし、
その進化の過程というだけの自分の存在は、生命活動そのものを否定されてるようで
悲しすぎますもんね。

オオカワ 2003/10/30 #564